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サイドアタッカーを開発するに至るまでに常々考えていたこと・・・・ストレスを伴った問題提起として

たとえば私たちの業界は、建材の一つである床材そのものに何らかのコーティングをおこない建材保護と美観維持の名のもとにメンテナンスを売り物にしている。しかしコーティングすることでその剥離という重大な工程に対し完全な技術を体系化できずにいる黙認された現実がある。・・・
床材メーカーとビルメン業界の乖離。
床材メーカーはコーティングを推奨しない。そもそもワックスありきで開発された床材メーカはほとんどない。あるのはオーソドックスな廉価版のみだ。なかでも大半の塩ビ系床材は極薄膜のUV仕上げで出荷され、それ自体に光沢があり、頑強な被膜で保護された意匠性を伴った『完成された商品』という事を見落としてはいまいか。
最近あるメーカーがノーワックスリュームの施工をこちらの業界とコンセンサスを図るプレゼンがあった。バフ研磨して光沢を出す。ストレートにそういう話にひっかかる。ノーワックスならノン施工でいい。確かに汚れるので洗浄やなんらかのメンテナンスは我々に役割を投じる。しかし研磨し光沢を出すと、平滑面は即座に裂傷が付き易い状態を形成するため、バフ形成による均等な傷の集合体は日常の多様な圧力ですぐに構成が乱されてしまう。形成したということは素材の組成を破壊したことと同じなわけで、光沢などといえる代物でもなく。そもそも初めから研磨表面で製品化すればよかったものをなぜ余計な作業を必要とさせるのかやはり腑に落ちない。必要と誰が訴えるのか。洗浄以外何も手を加えないほうがその床材は意匠性よく、なんの問題もない素地でありながら。またバフ粉塵の空気汚染をどうとらえるのか。
もし床材メーカーが一切コーティングを必要としない商品を前面に打ち出したら私たちの業界は一体どうなるか。床材メーカは高分子化学やなんやらの優れた技術でいかようにもできるからだ。

数十年前からノーワックス床材は見本帳の主流にあり今は既に常識化している現実にこちら側は果たしてうまく乗っかっているだろうか。何をすき好んで我々はコーティングを芸術の極みのように施工追求しているのか・・・・・
表層で我々は踊らされてはいまいか。
或いは、ビルドアップした塗膜を完全に剥離できないこちら側。こうした問題に出くわしたことがない方々は別として。特に塩ビ系床材の可塑剤が「何らかの原因」で塗布した樹脂剤と一体化した時、それは堅牢に固着化しているし、そこに剥離剤は決して反応しない。水分を弾いてしまう。そのUV表層そのものが半ば荒れた肌のようにあいまいな表層を形成する事がある。その残膜に対し、ケミカルメーカーが方法を示しているとは思えない。五万とある剥離剤が太刀打ちできない塗膜が現実にある。しかもその塗膜を形成させたのはほかならぬ私たちの作業の延長によって発生させている。

高光沢を訴え、素地保護の理由を前面に出してコーティングを必要と訴えるのはこちら側独自の業界認識。美観維持のインパクトのほうが剥離の限界点が起こすリスクよりも重要視されるきらいがあるのは事実。前述した「完全剥離ができない塗膜」は全体から見れば限られた範囲。
床材は歩行量の増大によって損傷するため、そうならないように私たちは床材よりも「軟弱なコーティング剤」を塗布し、擦り減ったら塗布しの繰り返しを行って素材を保護し美観を維持する事は確かに肯定される。二度とコーティングしないで済むようなものさえも施工する。
施工にはデメリットとメリットがあるもの。しかしデメリットはリスクにほかならない。剥離をすることによって露出する剥離不可能な残膜に出くわす現実。そこに過去の施工会社の責任を問うのではなく、業界全体の方法論や技術論に風穴が射しているのではないかと考えてしまう。

表面に塗るものの賑わしい業界。

文字通り、上っ面の話に終わらないように願う者として。

サイドアタッカーは最終手段のようで速攻手段。上述の「うやむや」をバッサリ研削して終わらせる。
復元不可能なら消し去ってしまおうという乱暴な表現がむしろ相応しい。
特に優れたツールではなく、結論を早く突きつけるわかり易さこの上ない。それに上っ面を塗布するのはなにせ得意な業界だから。

2016年12月09日(金) by うっちゃん [ Edit ]
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