群青
声を失った親方と眺めながら思い出していた
今そのプラチナムはアルファとして生まれ変わり確かな反響を呼んでいる
僕は言った
『僕らがしてきたことは誇りにおもっていいから』
『わかった』と手のひらをあげ深いまばたきをしたので伝わったようだった
数分ベッドに腰掛けるだけで息を切らしはじめたので横になると
筆談で豪快に『なにか話したいことはあるか?』と視線を向けた
『顔を見にきただけだから』
片手ですまんすまんとやりかえし
深い呼吸をすると あんなに大きかった親方がベッドにみるみる沈み込んで小さく見えた瞬間があった
僕は不安めいたものを振り払うように
『また来るからね』と部屋を出た
その日は穏やかで
群青はどこまでも深く広大だった